京都府のしいたけ生産量は全国で39位。
そんな京都でしいたけ栽培をして1日でも新鮮な京都産のしいたけを地元の人たちに食べてもらいたい!
「はじまりは小さなハウスから」
空調管理のもとでしいたけの通年栽培をしようと思うと、初期投資(設備)に多くの費用がかかってしまいます。例えば、わずか20mのしいたけ栽培ハウスを建てるのは、皆さんがよく見かける野菜を作っているハウス40mのものを2棟建てるのとほぼ同額です。
しかし、初期投資にかけられる資金があまりなかった私は、近所の先輩農家さんの知識をお借りしながら、しいたけ栽培ハウスの建設をできるだけ自分ですることに決めました。しかし、それでも必要なところにはお金がかかってしまうため、本来しいたけ栽培をスタートするのに理想的な大きさの1/4のサイズに計画を縮小せざるを得ませんでした。
こうしてたくさんの方々の手を借りながら、RE:ARTHのきのこ栽培ハウスは完成しました。
「コツコツと」
就農から約半年ほどした頃、京都に緊急事態宣言が発出されました。
外出される方が減り、私のしいたけを販売していただいているお店でも来店者数が減ってしいたけも売れ残ってしまうのかなと思ったのですが、お店のスタッフさんに「この前しいたけ売り切れてしまって、倉橋さんのしいたけないの?ってお客さんに言われたんですよ」と言われることが増え、お店でも固定の売り場をいただけるくらいに皆さんに買っていただけるようになってきました。
最近では、直売所でしいたけを陳列していると、「あなたのしいたけ美味しいから、ここ来たら毎回買ってんねん」とお声がけいただけるようになりました。
「私のこだわり」
私が目指しているのは環境に配慮した農業。そして、取引先やお客様から頂いた声やアイデアを形にした商品です。
しいたけは、その80%が水分と言われています。そのため、栽培で使う水の使用量を最低限に抑えることにより、しいたけ内の水分率を下げ、より風味の強いしいたけにこだわって栽培しています。
また、鮮度にもこだわっており、生しいたけの販売は物流会社を介さずに向日市、京都市、八幡市にある直売所に直接納品しています。そうすることで新鮮なしいたけをより新鮮な状態で皆様にお届けできています。海外産や他府県産のものは、どうしても物理的な距離から鮮度が落ちてしまいます。鮮度と品質にこだわって地元中心に販売することにより、新鮮なしいたけはこんなに美味しいんだということを知ってもらいたい。京都でもこんなに新鮮でおいしいしいたけが作れるということを証明したい。そして、地産地消という言葉があるように、新鮮な地元産の食べ物の良さを皆さんに知っていただき、みんなで京都の農業を盛り上げていきたいと考えています。
また、最近では食育にも力を入れており、地元で栽培しているからこそできる収穫体験を、地元の直売所などに出張して開催しています。特に小さなお子さんはしいたけの収穫は初めてで、楽しそうに収穫されている姿が印象的でした。これまでしいたけは食わず嫌いだったお子様も、収穫体験を通じてしいたけを食べるようになったというお声もいただけるようになってきました。
「私たちの未来への取り組み」
RE:ARTHでは、コーヒー残渣(出し殻)を使用したキノコ栽培実験に取り組んでいます。
日本は世界でも有数のコーヒー消費国。そのほとんどを海外から輸入しています(一部沖縄地域で栽培されています)。Chido’s mushroomによると、1杯のコーヒーに含まれる実際のコーヒー豆の成分はわずか0.2%。99.8%は廃棄されています(一部農業に利用されたり、バオマス発電に使われたりもしています)。近年ではフードロスや食品ロスなどという言葉を頻繁に耳にすることがありますが、99.8%の廃棄率という数字は驚くべきものです。
また、コーヒーを抽出したコーヒー残渣には水分がたくさん含まれているため、燃えるゴミとして出しても燃えにくく、余計に燃料を消費してしまいます。
そこでRE:ARTHではこのコーヒー残渣を有効活用すべく、コーヒー残渣を使用したキノコの栽培実験に取り組んでいます。また、きのこを取り終わった後の菌床は土に返してやることができるだけでなく、農産物にいい影響があることも少しずつわかってきています。そのため、土→コーヒー→菌床きのこ→土という循環を生み出すことができるようになるのです。
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